企業主導型保育園

時短勤務OK!企業主導型保育園の地域枠とは 利用定員・申し込み方法と選考基準

7月8日のMBSテレビ「Newsミント!」において、衝撃的な内容のニュースが放送されました。

奈良市で働く女性が、会社の時短勤務制度を利用して育休から復帰したところ、子供を預けていた認可保育園から退園通告を受けたと言うのです。

その理由は、育児時短勤務を利用していることにありました。

認可保育園から退園通告!?

保育園退園通告が出た理由

奈良市では、利用希望者が多い認可保育園の選考において、フルタイム勤務者と育児時短勤務者との間で点数に差を設けていたのです。

月160時間以上働く場合は100点。それに対し育児時短勤務で働く場合の点数は90点に下がってしまいます。

共働きフルタイムで入園希望を出す家庭が圧倒的に多い中で、10点も下げられたら入園は厳しくなります。

フルタイムから育児時短勤務に切り替えた理由

もともと、申請時にフルタイム勤務での復帰という方向で考えていて、入園審査をクリアしたそうなのですが、勤務地が大阪と遠方であったため、保育園のお迎え時間に間に合わせるために育児時短勤務に切り替えたそうです。

保育園選び 自宅近くの保育園を選ぶ理由

「入園前にお迎えの時間まで見越して保育園を選ばなかったのか」

という声もありますが、企業によっては育休復帰のタイミングで、今までとは別の場所での勤務に異動させる場合もあり、辞令が出るのがギリギリのこともあります。

ですので、保育園は自宅から近い所を選ばざるを得ないという一面があります。

そもそも、勤務先に近い県外・市外の保育園に入園希望を出したとしても、地元住民の方が優先されるため保育園に入れないリスクが高くなってしまします。

認可保育園審査基準への疑問

働き方改革と謳いながら、働く人を応援する形になっていない制度には疑問を感じます。

圧倒的保育園不足の中で、優先順位をつけて選考をするというのは仕方のないことかもしれません。しかし、働く理由や働き方、家庭の事情は様々なので、そこを十把一絡げにして育児時短勤務だからダメ。というのはいかがかと思います。

「本当に保育を必要としている人に利用してもらいたい」と行政側はよく言いますが、みんな必要だから入園申請をしているんです。

時短勤務でもパートでも利用できる企業主導型保育園の地域枠

フルタイム勤務じゃなくても入れる保育園

共働きフルタイム勤務者以外の人は保育園に入れないのか。そんな絶望すら覚えてしまう昨今の認可保育園選考。

フルタイムでなくても、パートなどの非正規社員であっても利用できる保育園があります。それが、企業主導型保育園です。

企業主導型保育園 地域枠とは

企業主導型保育園は企業が従業員のために設置する保育園です。

したがって設置企業の従業員に優先的に利用する権利が与えられます。

では、設置企業の従業員でないと利用できないのかというと、実はそうではありません。

企業主導型保育園の利用枠には、設置企業の従業員が利用する「従業員枠」と、設置場所の地域住民が利用できる「地域枠」の2つの枠があります。

この地域枠を利用すれば、設置企業の従業員でなくても企業主導型保育園を利用することができます。

地域枠の利用条件

地域住民が企業主導型保育園の地域枠を利用するための条件は下記です。

全ての保護者が、以下のいずれかの状態にある乳児及び幼児

ア 一般事業主に雇用されていること。

イ 子ども・子育て支援法第 20 条に定める認定(同法第 19 条第1項第2号又は第3号に掲げるものに限る。)を受けていること。

ウ ア及びイに準じる状態にあると公募団体が認めること。(上記に拠り難い特段の事由がある場合に限る。)

~企業主導型保育事業費補助金実施要綱より引用~

要するに、一般企業でお勤めをしている方ならOKということです。

ここでポイントなのは、利用条件の中に就労形態が指定されていないことです。

月に何時間以上就労していないといけない

週に何日以上勤務していないといけない

といった縛りがないのです。

育児時短勤務者であっても、週3日勤務のパートであっても利用が可能ということです。

地域枠の申し込み方法

企業主導型保育園の地域枠を利用したい場合、直接その園に問い合わせをし、指定された方法で申し込みを行います。

企業主導型保育園は、企業が設置する認可外保育園なので、役所での手続きは一切必要ありません。

企業主導型保育園地域枠の利用定員

企業主導型保育園の地域枠には、就労条件の縛りはありませんが、利用定員に対する規定があります。

地域枠は施設の利用定員の 50%以内に留めなければならないという受け入れ人数制限です。

小規模保育が多い企業主導型保育園において、定員の50%と言われると少し難しい印象も受けます。

ご安心ください。この規定、平成30年3月より救済措置(弾力措置)が取られています。下記条件を満たした場合、定員の50%を超過して地域枠での受け入れを許容しています。

地域枠における弾力措置の実施要件

1弾力措置により受け入れ可能な児童は、市区町村の利用調整の結果、入所保留の通知を受けた児童であること

2弾力措置は、原則として、従業員枠の当該年度中における空き定員を活用した一時的なものであること

3施設定員の全てを地域枠対象者としないこと

(参考)改正版平成29年度企業主導型保育事業費補助金実施要綱

 

企業主導型保育園地域枠の選考方法

地域枠の選考方法は、設置企業に委ねられています。

したがって、就労時間が長いことや、勤務日数が多いことが必ずしも優位になるとは限りません。

育児時短勤務であっても、パート就労であっても臆さずに利用申し込みをしましょう。

では、選考では何を基準にしているのか。

設置企業によるため一概には言えませんが、私が企業主導型保育園を開設していた時の選考基準は3つありました。

コミュニケーションがうまくとれるか

自社の従業員も含め、他の利用者さんとトラブルになりそうな要素のある方は避けていました。

また、提出物など運営上必要な手続き等にきちんと対応してくれそうな方を優先しました。

一緒にこの園を創り上げてくれるか

開園したばかりだったので、ゼロから必死で保育園を創り上げている最中でした。

利用者の方からの声は貴重なご意見です。足りないところも受け入れて、より良い園にしていくために協力してくれそうな方に入園してもらいました。

この園を利用したいという熱意がどれだけあるか

保育内容にはこだわりを持っていましたから、その理念に共感してくれる方で、この園をどうしても利用したいという熱意のある方を優先していました。

企業主導型保育園 地域枠利用 まとめ

企業主導型保育園は設置企業の従業員だけではなく、地域住民の方でも利用できる地域枠があります。

地域枠の利用に就労条件はなく、育児時短勤務でもパート勤でも利用は可能です。

認可保育園の熾烈を極める保活に身を投じる前に、企業主導型保育園についても預け先の候補として考えてみてはいかがでしょうか。